「・・・・っあ、ご、ごめんなさい」
「オイコラてめぇ十代目に肩ぶつけるたあいい度胸してんな・・・」
「わあああ!!?何やってんの獄寺君!!!」



「山本、この服試着するからちょっとこれ持ってろ」
「おー・・・・・・・・・・ってオイこれ」
「公衆の面前でダイナマイト出すなああああああ!!!しかも大量に!!!」



「うーん・・・これ気に入ったんだけど・・・・・結構高いなあ・・・・・・・・」
「値切りますかッ?十代目」
「ぎゃーーーだから爆薬系出すなってば!!脅す気満々だろ!!!?」



「山本、てめえぶっ殺す!!!!!」
「やれるもんならやってみろよ」
「本日6回目だよ殺す以前に勝負すら一度もついてない不毛さに誰か気づいて!!!?」






 





正しい犬のしつけ方




 









みんなで買い物しねえか?という山本の提案。
野球部の練習は休みらしい。

獄寺は十代目が行くなら俺も行く、と言い、ツナはビアンキの料理指導から逃げたい一身で。
ツナ、獄寺、山本・・・三人は駅前の大型百貨店に買い物に訪れていた。

日曜日の、今は1時を少し回ったあたりか。

買い物に一区切りをつけ、マックの店内で少し遅めの昼食をとっている。


「はぁあああぁぁぁあぁ・・・・・・・・」


が、ツナは目の前のチーズバーガーには少しも手をつけずにため息を吐いてばかりでいた。
金属素材のテーブルに、憔悴しきって額を預けている。
細い腕がテーブルの脚と平行にだらんと垂れ下がる。


「おいおい、午前中から疲れきってんな、ツナ」


ビックマックをもう半分にも減らした山本が、苦笑交じりで声をかける。
スローモーな動きで体を起こし、ツナが答えた。


「・・・・何かもう、疲労と心労と酸欠がセットになって襲ってきて・・・・」
「セットになって効果3倍?大丈夫かよ」
「うん大丈夫・・・でも何だか俺の寿命がどんどん削ぎ落とされる音が聞こえるっていうか・・・・」
「それ大丈夫って言わないだろ確実に」


ぞっとしないことを死んだ目で話すツナ。
咀嚼したポテトを飲み込んで、獄寺が眉間をきゅっとさせてツナを見つめる。


「おいたわしや十代目・・・・・・その苦しみ、俺が受けることが出来たらどんなに・・・!!」
「・・・獄寺、たぶん原因お前だぞ」
「なにぃ!!!!?」


諭すように柔らかく言った山本であったが。
ツナを疲労困憊せしめている事を、残念ながら獄寺は自覚していなかった。

慌てて、隣の席でやっと昼飯に手を出し始めたツナに、詰め寄るように言う。


「本当ですか、十代目・・・・」
「俺が避けられなくてぶつかった人にメンチ切ること7回・・・・・・・

 ダイナマイトを所構わず取り出すこと24回・・・・・・・・・・・・・・・・

 山本との衝突は35回で数えるのやめた・・・・・・・・・・・・・・・・・」


そしてツナはまたも大仰にため息をついた。


「す・・・すいませんでした・・・・・」


自らの所業を並べ立てられ、獄寺は申し訳なさそうにしゅんとなる。

飼い主にしかられた犬そのものの獄寺。山本がフォローを入れる。


「ツナ、元気出せよ。獄寺はお前のために一生懸命なんだし。空回ってるけどな」
「うるせーセクハラ牛乳男!!てめぇの十代目を視姦せんばかりのその視線が・・・」
「獄寺君・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・すみません」


そういえばマックの店内である。ツナはひどく冷たい目で獄寺を射た。
殊更に落ち込んだらしい獄寺が、ただもそもそとテリヤキマックバーガーを食べ進める。

容器の底に残ったポテトをザーッと口に流し込んだ山本が明るく言った。


「まあいちいち反応してた俺も俺だしな。この後ツナの好きなトコ行こうぜ?お詫びってことで」
「え、いいの?やったーv」


ツナの周りに漂っていたよどんだ空気が一気に晴れる。
面白くない獄寺だったが、依存もないので黙っていた。

既に中身のない包みをぐしゃぐしゃにして、山本と同じようにポテトを一気食いする。

食べ終わって、そしてちらりとツナの方を見た。
ツナはまだチーズバーガー半分にもいっていない。
はぐはぐ小刻みに食べ進める様子が、ヒマワリの種を食べるハムスターあたりを連想させる。

可愛い。可愛すぎる!!!

獄寺は密かに身悶えていた。

向かいの席のツナのそれを眺めていた山本が笑った。


「ツナ、喰うのおせーなー」
「うう・・・山本も獄寺君も早すぎるんだって」
「手伝ってやるよ」
「?」


山本の唐突な申し出にぽかんとしているツナ。
山本はツナの右手、もといその手の中のチーズバーガーをひょいと自分のほうに引き寄せ、


がぶり


「!!」


直接かぶりついた。
拍子に、山本の唇がほんの少しツナに触れて。


「ちょ、山本ー!」
「ごちそーさんv」


満足気にケチャップを舌で拭う山本。

照れたように、ツナは三日月みたいな形になった自分のチーズバーガーを見て言った。


「もー、手伝うってコレ、食べすぎだよ」
「わりー。つい、な」
「ついって・・・・・・」
「十代目ー!!」
「うわあッ!!!?」


横から聞こえた声にツナが飛び上がる。
何度も叫びそうになりながら・・・ついでに何度も山本を殴りたくなりながら
目の前の二人のハートが飛び交いそうな光景を見せつけられていた獄寺であった。
行き着く先は無論・・・・


「俺も、いただいてもよろしいでしょうか!!?」
「え!?・・・・い、いいけど・・・・・・・・・・・・」


対抗するっきゃない。



(そんなにチーズバーガー食べたいんだったら最初から頼めばいいのに・・・)



ツナは思いっきりズれたことを思いながら、部下が欲する彼の昼食を差し出そうとした。

しかし、一つ思いついて、瞳をキラキラさせている獄寺から、
チーズバーガーを遠ざけた。


「十代目!?」


途端に眉尻を下げさせる獄寺は、やっぱり犬みたいだなあと、思う。
怖いという感情も少しはあったのだが。


「俺のいうことちゃんと守れたら、あげるよ」
「守ります!」


慌てたように返す獄寺に、山本がウーロン茶を吹き出しそうになる。
幸い、現在の獄寺の視界には愛しき十代目とちらつかされているチ−ズバーガーしか映っていない。


「俺が人とぶつかったりしても、その人に突っかかったりしない?」
「はい!!」


「人のいるところでダイナマイト出さない?」
「・・・はい!」


「山本とけんかしない?」
「・・・・・・・・・・・・・・はい」


最後はだいぶ躊躇したらしかったが、獄寺は力一杯うなずいた。
そんな獄寺に、ツナは内心不安ながらも微笑んだ。
ご褒美、とばかりに獄寺にチーズバーガーを差し出した。


「ありがとう。ちゃんと守ってね?」
「はいっ!!いただきます!」


かぷっ


「ってやっぱり直接なんだ!?」
「おいしいです、十代目の・・・・・vV」


ためらうことなくツナの手のチーズバーガーにかぶりついた獄寺に、
ツナは餌づけでもしている気分である。
そうすると先ほどのやり取りはしつけといえただろうか。


今度はツナのオレンジジュースを勝手に飲んでいる山本の一言。


「獄寺の飼い主みてーだぜ、ツナ」

 


その一言に、妙に納得したツナであった。


 

 






 

 


続く









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やっちゃったーーー!!!ごめんなさいごめんなさいいいいいい!!
愛犬獄寺シリーズ(爆死)。しかも続きもの(シネ!!)
アホギャグにも程があるああああ!!!!
とってもヘタリャーな獄寺君と遊び心チラチラの山本。
そして原作とは別人格のツナ!!今回ちょっと女王入れちゃったよ!!←思っても言うな
ハンバーガーの好みとかは想像・・・いえ、妄想です。異様に山本大食いですみません。
題名からしてアレですね。この後の展開もアレです。すべてにおいてアレ。
切腹する覚悟でゴパァ(吐血)

 

続き

 

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